大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和24年(オ)12号 判決 1951年4月19日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人弁護士高橋仲次郎の上告理由について。

第一点 仮処分の申請においては、仮処分の要件である被保全権利及び保全の理由を疏明することを要する。ただ裁判所は、この裁判をするに当り、被保全権利、保全の理由の双方又は一方に対する疏明がない場合においても、その代用としての保証を申請人に立てしめることによつて仮処分を許すことができる(民訴七五六条、七四一条二項)。しかし、これは全く裁判所の自由裁量に属することで、前記要件の双方又は一方に対する疏明がない場合において、裁判所が保証をもつて疏明に代えることを不適当と考えるときは、仮処分申請を却下することができる。それ故、原審が本件被保全権利に対する疏明なきものとして、仮処分の理由の有無に関する判断をすることなく申請を却下したのは当然であり、論旨は理由がない。

第二点、第三点 所論は、原審の証拠の取捨判断乃至事実認定を非難するに帰し、適法な上告理由と認め難い。

よつて当裁判所は民訴四〇一条、九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

この判決は全裁判官一致の意見である。

(裁判長裁判官 真野毅 裁判官 沢田竹治郎 裁判官 斉藤悠輔 裁判官 岩松三郎)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例